タイルの名古屋モザイク工業株式会社

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TILE TREND COLUMN #2

月の石、塩の岩

Beyond Realism

セラミックタイルによる天然石の表現は、オーソドックスな石種の模様・色彩の再現からはじまり、今ではデジタル技術を駆使して、再現という領域を超えたデザインにまで進化を遂げています。想像力と最新技術から生まれた超リアリズムの表現が、現代建築に豊かさを提案します。「Moon Stone(月の石)」と 「Rock Salt(塩の岩)」はそれらを代表する製品です。

ムーンストンは、月面のクレーターのような模様の天然石
 
 
Moon Stone
ムーンストン   月の石
1500×750角・750角・900×450角・600角・600×300角 |Made in Italy

Soft and Natural

ブラジルの高級石材ムーンストンからインスパイアされた石模様は、原石をリアルに再現。ムーンストンの特徴は、鉱山から採石したスラブ材を板状に切り出す時に、その切断する方向性(水平・垂直)によって石目の模様が大きく変化することです。特に水平切断した時に現れる表面のテクスチュアが、様々な形のクレーターで覆われた月の表面を思い起こさせることからムーンストンと呼ばれています。
不規則な斑点模様が現れるクロスカット(1000~1040・1100G〜1140G)と流れるような静脈模様 となるヴェインカット(1050~1090・1150G〜1190G)の 2 種類をセラミックタイルで創作しました。 自然の中にある素材の美しさと魅力的な質感を引き出した傑作です。
 

スラブ材の切断方向により模様の変化をセラミックタイルで再現

 
 
 

Cross cut(クロスカット)の石目模様

不規則な斑点模様をベースとしたクロスカット(1000〜1040・1100G〜1140G)
 
スラブ材にクロスカットを施し、丸みを帯びたポケット状の斑点が特徴的な自然の表情を見せています。この切断方向による斑点模様が月の表面に非常によく似ていることから、通称ムーンストン、ムーンロックと呼ばれています。 


1000・1100G

1010・1110G

1020・1120G

1030・1130G

1040・1140G

Vein cut(ヴェインカット)の石目模様

一方でムーンストンの水平切断とは対照的に、垂直切断した場合の外観は大きく変化します。柔らかく優しい色合いが、流れるような直線的な構造になって出現します。この方向にカットした際に光の効果によって、しばしば光沢のある絹のような質感を連想させるため、「茶色を帯びた絹」Brown Silk とも呼ばれています。


流れるような静脈模様は、垂直に切り出したヴェインカット(1050〜1090・1150G〜1190G)

通称「茶色を帯びた絹」Brown Silk

1050・1150G

1060・1160G

1070・1170G

1080・1180G

1090・1190G

このように切断方向の違いにより外観が大きく異なるため、天然石の採石時には石の脈の品質と方向を考慮する必要があります。採石プロセス全体における一貫性と熟練が重要になります。セラミックタイルにおいては、デジタル技術の進化により気軽に使えるマテリアルとなりました。 
自然で目立ち過ぎず、穏やかで温かみがあり、ベースとなる色調も一定なので、ファサードや床などの広い面積のアプリケーションに適しています。ムーンストンはモダンな環境にも自然な環境にもシームレスに適応するようにデザインされています。 

Rock Salt
ロックソルト 塩の岩
2400×1200角・1200角・1200×600角・600角・600×300角|Made in Italy
 

Contemporary Design 

Halotherapy(ハロセラピー)が流行しています。岩塩の洞穴のような環境の中で、塩の空気(空中のエアロゾル)を吸入するトリートメントです。 近年では、ヨーロッパ・アメリカでソルトルーム(塩の部屋)の施設が多く出来て、日本でもいくつかのショップがオープンしています。

ソルトルーム(塩の部屋)
 
 
天然の岩塩による癒しの効果は、数世紀にわたってだんだんと認識されてきました。 中世、欧州の僧侶たちは病人を岩塩窟に連れて行き、塩の粒子で満たされた空気を吸わせました。塩の粒子は、僧侶達が鍾乳石を砕いて空気中に放出させたものでした。 
19 世紀、ポーランドの製塩企業は、塩坑の坑夫が誰も呼吸器疾患(例えば肺炎、気管支炎および喘息)に罹ったことがないことに気がついて、上記の疾患、特に喘息を緩和するために、ポーランドのヴィエリチカ(Wieliczka)に最初の地下治療センターが設立されました。ヴィエリチカは、11 世紀から続く岩塩の採掘抗で、現在は歴史上や神話上の様々なモチーフを象った彫像を坑道に展示して、世界文化遺産として観光向けに公開されています。1843 年、ポーランドの医師 F.ボフコフスキー(F.Bochkowsky)は塩性の洞穴環境が呼吸器疾患に及ぼす治療効果についての本を出版しています。これが、近代 Halotherapy(ハロセラピー)のはじまりです。


ポーランド/ヴィエリチカの岩塩坑・地下礼拝堂
(世界文化遺産・1044年創業の世界最古の採掘坑)

ポーランド/ヴィエリチカの岩塩坑・地底湖

大自然の中にある塩の洞窟や鉱山は、便利な場所ではなかったので、塩の洞窟と同じような環境を、科学的に証明されたハロセラピー法(ギリシャ語でハロは、塩)=塩療法によって人工的に再現しました。 治療は、指定された部屋(ハロセラピー施設またはソルトルーム)に、塩の粒子を高速で粉砕してできた塩のエアロゾルを部屋に吹き込むことで行われます。


ソルトルームのような寛ぎをセラミックタイルで創造

ヒマラヤの赤い岩塩のようなセラミックタイル

セラミックタイルに療養効果はありませんが、地下鉱山から切り出された巨大な岩塩が放つ多面的な表情とシンプルな結晶の美しさをモチーフとしたデザインで、流行に左右されない現代的でニュートラルな空間を演出します。視覚的な癒しにより日常の喧騒から解放された雰囲気が楽しめます。自宅や職場を快適空間に仕上げたい今、最も注目される素材感覚といえます。

ウェルネス(より良く生きようとする生活態度)を広い意味でとらえた場合「前向きに生きようとする心」や「自分に適したライフスタイルの確立」など、より自発的な健康促進に重きを置く概念がありますが、医療に限らず、美的な心地よさもまた、日々を活き活きと生活する為の大切な舞台装置と言えるでしょう。 
 

 
 

2020.6.30