タイルの名古屋モザイク工業株式会社

    

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タイルの施工法について

 
タイルの施工法は、施工能率の向上、剥離や白華の防止、熟練タイル工不足の解消などの必要性から、
工法の改良や開発が重ねられ、建築工事の合理化に応えてきました。現在行われているタイル施工法の概略をご紹介いたします。

 工法の種類のポイント

タイル工事に求める最も重要な性能は、タイルの剥落を防止する性能です。施工箇所や条件に合った適切な施工法の選定、タイルの種類にあった張り方の選定が重要です。詳しい施工方法は、JASS19 セラミックタイル張り工事(2022年改訂版)を参考にしてください。セメントモルタルによる後張り工法の種類は、コンクリート下地壁タイル直張り、モルタル下地タイル張り、パネル下地壁タイル張り、床タイル張りがあります。また、有機系接着剤によるタイル後張り工法の種類は、壁タイル張り、床タイル張りがあります。なお、工場で行われる先付け工法としては、タイル先付けプレキャストコンクリート工法があります。いずれの工法を採用する場合にも、タイル工事の基本として、以下のポイントは確実に守らなければいけません。
 

  1. 施工箇所の条件に合った適切な施工法の選定

  2. タイルの形状および大きさにあった張り方の選定

  3. 伸縮調整目地の適切な設置

  4. 十分な下地調整と下地養生期間の確保

壁タイル張り工法

壁-01. 密着張り

下地面に張付けモルタルを塗付け、タイル張り用振動工具でタイルに振動を与え、埋め込むように張付けます。

タイルは上から下に張付けます。先に張ったタイルの位置ずれを起こさないよう、一段置きに数段張付けた後、間のタイルを張ります。

はみ出した張付けモルタルを押さえて仕上げる一発仕上げは、深目地になったり、硬化したモルタルを動かし、接着強度の低下が生じるなどの問題があるため禁止します。

壁-02. 改良圧着張り

圧着張りの張付けモルタルがオープンタイムの影響を受けやすく接着不良につながる点を改良した工法です。

張付けモルタルを下地面に塗り、さらにタイル裏面全体にも張付けモルタルを塗付けながら壁面に押し付けて張ります。

下地側に張付けモルタルを塗った直後にタイル張りをすると、タイルにズレが生じる場合がありますので、ある程度締まった後にタイルを張付けることが重要です。

タイルの裏面に張付けモルタルを塗付け、タイルを直ちに張付ける作業手順とします。

壁-03. 改良積上げ張り

精度の良いモルタル下地に対して、タイル裏面に張付けモルタルを塗り、下段より積上げながら張ります。

下地の乾燥に応じて水湿しを行います。吸水調整剤は張付けタイルがずれるため使用しないでください。

空隙ができないようにタイル裏面全面に張付けモルタルをのせ、すばやく張付けます。

空隙ができてしまったときは必ずモルタルを詰めます。ふり粉は白華の原因になるので使わないでください。

一日の張付け可能な高さは1.5m以下とします。ただし、三丁掛以上のタイルは高さ1m以内とします。

壁-04. モザイクタイル張り

下地面に張付けモルタルを塗付け、モザイクタイルユニットをたたき板などで入念にたたき押さえして張付けます。

たたき押さえ後の目地調整は、タイルと張付けモルタルの接着を阻害します。目地調整はたたき押さえの前に行ってください。

その後、モルタルの硬化の程度を見計らって表紙に水湿しをし、表紙を取り除き目地詰めを行います。

張付けモルタルの塗り厚不足は接着不良、剥離の原因となるので塗り厚は十分確保してください。

オープンタイムの影響を受けやすく、塗り置き時間が長くなると、接着力が急激に低下するので注意が必要です。

下地精度がそのまま仕上がり面に影響するので、精度の良い下地づくりが必要です。(長さ2mに対して±1.5mm程度)

壁-05. マスク張り

モザイクタイル張りの短所であったオープンタイムの影響による接着力のバラつきを少なくし、良好な接着力を得るための工法です。

現在用いられているマスクは、(社)全国タイル検査協会が試験を行い充填性が最も良好であったものを提供しています。また、マスクの厚さは4mmとしています。

マスク張りにおけるタイル浮きの最大原因は、タイルのたたき込み不足によるものです。表貼りの紙の一部がはみ出したモルタルで湿るまで、十分たたき押さえしてください。

下地精度がそのまま仕上がり面に影響するので、精度の良い下地づくりが必要です。(長さ2mに対して±1.5mm程度)

壁-06. 接着剤張り

適用下地はモルタル、コンクリート、EPC、ALCパネル、ボード類とします。

接着剤は開封後直ちに使用してください。

接着剤をクシ目ごてを用いて必要な量および高さになるように塗布します。

接着剤の一回当たりの塗布面積は、接着剤の張付け可能時間内に張り終える面積としてください。

下地表面が濡れている場合は、乾燥させた後、接着剤を塗布してください。

サッシなどの部材を汚さないように事前に養生テープなどで養生してください。

吸水調整材やシーラーなどを塗布すると、本来の接着性を発現しない場合がありますのでご注意ください。

接着剤の厚みが厚くなると、接着剤の硬化が遅くなり剥離の原因となる危険性があります。

壁-07. 先付け工法
プレキャストコンクリート工法/タイルシート法

タイルの大きさは四丁掛け以下とし、ユニット製作および接着確保の点から50角以上を対象とします。

タイルを敷き並べる方法には、タイル単体法とタイルシート法があります。現在では、手間のかからないタイルシート法が圧倒的に多い方法です。

一般的には、コンクリート面をそのまま目地仕上げとするため目地材は用いません。ただし、必要に応じて目地詰めできます。

一般的に手張り施工より高所で適用されることが多いため、接着力は0.6N/mm2以上とします。

※プレキャストコンクリート工法ではタイル面を上に向けて養成・保管するとSiO2(シリカ)を含んだ洗い水や雨水がタイル面に残り虹彩現象が発生しやすくなります。タイル表面に洗い水が残らない作業や養生・保管中にタイル表面に直接、雨水が当たらない・溜まらない様にするためにタイル面を下に向けて養生、保管する等をご検討ください。

壁-08. 大判タイル 金具併用工法

NM乾式結合工法は、大判タイル、石材、セメント系二次製品、れんが等の仕上材を、金属製の専用基盤と弾性接着剤を使い簡単に施工できる工法です。基盤材は下地にルーズホールでビス固定されるため、建物の変形および下地面の挙動に対して独立した動きとなり、高い免震性能を実現させました。地震時や強風時の揺れに対して安全・安心な工法です。

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NMリベット工法(落下防止補助金具)は、従来のエポキシ系接着剤でのステン線付け等に替わるリベット式の固定取付け工法です。600角などの大型タイルの落下防止補助金具として、タイルと金具をリベットで結束させ、躯体に緊結させます。

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壁-09. 薄型大判タイル NT工法

屋内壁および屋外壁に、タイル厚6mm程度の薄型大判タイルを接着剤で施工する方法です。

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壁-10. AMクランプ工法

AMクランプ工法は大判タイルやテラコッタを専用金具(クランプ金具)で壁面に施工する完全乾式工法です。

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壁-11. AM-PCアンカー工法

AM-PCアンカー工法は大判タイルが割れない、落下しない、汚れにくい工法で、専用金具(AMアンカー)で必要な支持力を得る信頼性の高い工法です。

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目地施工に関する注意事項

  • 剥離・剥落の原因となるため、突きつけ目地(ねむり目地)や深目地はしないでください。
  • モルタル張り施工の場合、目地深さがタイル厚の1/2以下になるように目地材を詰めてください。
  • 弾性接着剤張り施工の場合、空目地(目地詰めなし) 施工できますが、接着剤の十分な塗り厚を確保し、裏面の空隙ができないよう施工してください。
  • 目地材の施工に際しては、メーカーの取扱説明書に従い行ってください。
  • 弾性接着剤張り施工で目地材を施工した場合、目地材の水分の影響で目地部が白華することがあります。
  • カーボンや酸化鉄が混入された黒系目地材は目地残りしやすいため、施工前に目立たない箇所で目地詰めテストをしてご確認ください。
  • 意匠上、釉薬面に貫入があるタイルは、貫入部分から微細な粒子等が釉薬面に侵入・浸透し汚れの原因となる恐れがあります。カーボンや酸化鉄が混入された黒系目地材の使用は避けてください。
  • 光沢が低くざらつきがあるタイルは、釉薬面や表面の微細な空隙に汚れや目地材等が強固に付着する場合があります。カーボンや酸化鉄が混入された黒系目地材の使用は避けてください。
  • 表紙貼りユニットタイルでは、糊残り部分に目地材が混じって目地残りとなる場合があります。目地施工前に十分に糊を除去し、目地詰め後できるだけ目地を拭き取ってください。また、目地詰め後できるだけ早い時期に洗浄してください。
  • タイルや石材によってはカラー目地の成分が表面に付着し色合いが変わる事があります。カラー目地をご使用の際は施工前にご確認ください。

床タイル張り工法

床-01. 改良圧着張り

300mm角を超えるタイルに適します。

床の下地面は、色々な汚れが付着しています。タイル張りに先立って下地を清掃します。

モルタル下地側に3~4mm、タイル側に3~5mm張付けモルタルを塗り付けて直ちにタイルを張付けます。

ゴムハンマーなどでタイルの周辺からモルタルがはみ出すまで、入念にたたき押さえを行います。
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床-02. 圧着張り

300mm角未満のタイルに適します。

床の下地面は、色々な汚れが付着しています。タイル張りに先立って下地を清掃します。

張付けモルタルは必ず二度塗りしてください。一度目のモルタル塗りは、こて圧をかけてしごくように塗ってください。

張付けモルタルの塗り厚は裏あしの高さなどを考慮して決めます。目安は5~7mmです。

タイルをもみ込むようにして張り、ゴムハンマーなどでタイルの周辺からモルタルがはみ出すまで、入念にたたき押さえを行います。

床-03. モザイクタイル張り

床の下地面は、色々な汚れが付着しています。タイル張りに先立って下地を清掃します。

モルタル下地に、張付けモルタルを塗り付けて直ちにモザイクタイルを張付けます。

表紙貼りが目地からはみ出したモルタルで湿るまでたたき押さえを十分行います。

床-04. セメントペースト張り

小面積の施工および300mm角未満のタイルに適します。

床の下地面は、色々な汚れが付着しています。下地を清掃した後に、水湿しを行います。

敷きモルタル(バサモルタル)を敷きならし、木ごてなどで締め固めて平坦な下地とし、モルタルが未硬化のうちにセメントペーストを塗布します。

ゴムハンマーなどでタイルをたたき込んで張付けます。

床-05. 接着剤張り(内床)

適用部位は内装床、適用下地はモルタル、合板とします。

床面への内装接着剤張りは、下地全面に接着剤を塗り付ける施工法とします。部分的に接着剤を塗り付ける工法は、荷重や衝撃によりタイルにひび割れが発生することがあるため不適です。

床-06. CSP工法

CSP工法は、大判タイル及び石材の床張り用に開発された施工方法です。

専用工具と専用ボンドを使用することで、大判タイル及び石材のひび・割れ・浮きの原因となる『エアポケット』を抑制しつつ、仕上げ精度と接着強度を高めた画期的な工法です。

床-07. レイズドフロアー・システム

屋上やバルコニーなどの屋外空間を有効に使うための工法として、レイズドフロアー・システムは開発されました。

仕上げ高さに応じた部材(大引・根太・BB支柱)を組み合わせ、高さ調節できるようになっています。屋内と屋外の段差がなくなることで、バリアフリー化が必要とされる大型物件にも対応可能です。20mm厚タイルに取り付けたアルミ目地プレートと根太を、ビス留めすればタイルが固定され、ビスを外せばタイルを取り外すことができるため、安全性の確保だけでなく、防水層のメンテナンスも簡単にでき、タイルも再利用(リユース)できる新工法です。

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床タイル張りの注意事項

  • 床タイル施工時は事前にタイル裏面への接着剤(張付けモルタル、有機系接着剤)の充填性を確認してください。
  • 充填性が不足する場合、接着力が低い場合または何らかの要因で接着力が低下した場合、適切な伸縮目地等を取らない場合、タイルにかかる応力により反りや剥離が生じることがあります。特に大判タイルを床に施工する場合ご注意ください。
  • 大判タイルをセメントペースト張りで施工しないでください。