Trend pick up vol.5

〈 キセキのタイル 貴石、輝石、奇石。 〉

Beyond the conventional concept.

 
タイルのデザインが、従来の概念を超えて新たな表現領域へと踏み出しています。技術の進化と共に、大理石やその他の天然石、セメント、金属、木材などの様々な自然の素材や人工的に作られたテクスチュアをリアルに写してきたタイル。それが今や、宝石のように鮮やかな美しさとリアルな質感を再現するまでに進化を遂げています。

マルミマキシマム・アガタアテナ 910P/3002×1500×6mm

例えば「マルミマキシマム・アガタ(Marmi Maximum series AGATA)」は、希少な瑪瑙(メノウ)の縞模様を強烈な装飾的要素として、単に「張る」だけの化粧材料としての領域を超えています。数年前までは、瑪瑙(めのう)のような宝石の装飾が建具や家具の造作材料になるなど、誰が想像できたでしょうか。今までになかった、全く新しいインテリアやアウトドアへと想像の可能性が無限に広がっていきます。このような大胆なタイルを、どのように使えばよいのでしょうか?
 
実際に作例を見てみましょう。

 

「マルミマキシマム」のショールーム

マルミマキシマムシリーズの製造工場(イタリア・エミリアロマーニャ州・モデナ県)に隣接するショールームです。

大理石調タイル(大判薄厚)の外壁。
アラベスカート・オロビコ(Arabescato Orobico)FI-6MM3015-14P/3002×1500×6mm(磨き)


一般の柄

A柄

B柄

A柄とB柄の組み合わせとそれを反転させたもの4枚で、ブックマッチ柄を構成しています。淡いグレートーンをベースに、濃いグレーとブラウン、黄土色も重ねて、強烈で波打つような模様を生み出しています。このようにパターンで施工してもユニークなタイルですが、家具什器の面材としての活用も可能です。
 
 

スタージュエリー 渋谷スクランブルスクエア店

昨年オープンした東京の渋谷スクランブルスクエアの「スタージュエリー」では、アラベスカート・オロビコ(Arabescato Orobico)に高度な加工を施し、宝石を飾るショーケースとして美しく仕上げられています。タイルによる、非常に優れたデザイン家具什器の最新例です。

スタージュエリー 渋谷スクランブルスクエア店(DA2020非住宅部門 銅賞
株式会社 丹青社 眞田 章太郎 氏(コマーシャルデザイン局 第1デザインユニットチーフ デザイナー)

デザインを発案した株式会社 丹青社の眞田 章太郎氏に解説を頂戴しています。
 

1946年、横浜・元町に創業した「スタージュエリー」のリブランディングプロジェクト第一弾としてオープンした渋谷スクランブルスクエア店。店内中央には、新たな「象徴」となるメイン什器を計画。その象徴に相応しい形を導き出す際に、まず人間にとっての宝石の原点とは何かを考えた。その第一は「石を削る・磨く」という人の手による行為。大きな石を削り出すように多面体でシルエットを構成し、表面を磨き上げた石の表情を持たせ、そこはかとなく「人の手による彫刻」を思わせる造形美を生み出した。スタージュエリー創業当初から変わらない「クラフトマンシップ」の精神が宿る新生スタージュエリーの新たなアイコンとなっている。

 
イタリアでも、これほどまでにデザイン性に優れた多面体の家具什器はまだないでしょう。この店舗の創造に携わった関係各社のアイディアと技術が集結して、タイルによる印象的な造形が表現されています。この店舗の床は 600mm角のタイルで、流行の天然石種「チェッポ・ディ・グレ(Ceppo di Gré)」を写した「ノール」という製品です。商品である宝石とショーケースを際立たせる素材として存在し、見事な調和を見せています。
 
 

「マルミマキシマム」加工のイロイロ

製造工場(イタリア)のショールーム内部の展示品です。

アガタアテナ 910P

タイルを円形にカットしてバックライトで照らすという、1枚のオブジェのように飾る絵画的な利用法です。純白の素地を使用していますが 厚さは6mmありますので、中国磁器や有田焼に見られる特別に薄い素地の薄胎(はくたい)磁器(厚さ 0.5~1.5mm)のように、はっきりと光を透過することはありません。しかし、ほのかに光を通す様子がとても上品な雰囲気です。背面の壁も、ピンク系のロックソルトを写した大判タイルです。


アガタブルー 920P

アガタブラック 930P

ホワイトビューティーを壁・床ともに使ったカウンターのある空間とカラカッタの通路。

ホワイトビューティー 330P(手前左)とカラカッタ・スタチュアリオ 4608P・8P(通路)。

間仕切り棚やテーブル、カウンターとして箱型に加工。

アマゾナイト 320P

白系大理石の家具什器

カラカッタ・スタチュアリオ 4608P・8Pの会議用デスク(左)とプレミアムホワイト 4660P・60Pの棚什器(右)。

カラカッタ 4603P・3Pのホテルカウンター(左)と部屋毎に色柄の異なる扉(右)。

白系大理石・人気のカラカッタ

カラカッタの名称がつく白い大理石は、数多くある天然石の中で最も人気のある石種のひとつです。有名なビアンコカララとほぼ同じ場所で採掘されますが、カラカッタは近年産出量が減っており希少性が増しています。それゆえにタイルでも好んで写される石種となります。
以下、「マルミマキシマム(6mm厚)」と「マーブルラブ(8mm厚)」は同一の石種が揃うものがあります。

カラカッタ・スタチュアリオ
マルミマキシマム 4608P・8P/マーブルラブ 1210・1310P
スタチュアリオ(Statuario)は、イタリア語で彫像の意味です。文字通り彫刻の材料にも使われるような白さを表現しています。クラシカルなテイストで力強く、グレーの大胆な脈模様が特徴です。

カラカッタ・ベリッシモ
マルミマキシマム 4611P・11P
カラカッタ・スタチュアリオと同じようにベース色は真っ白ですが、グレーの脈模様は、荒々しさを抑えて繊細で柔らかな印象に仕上がっています。

カラカッタ
マルミマキシマム 4603P・3P
カラカッタ・スタチュアリオと同じく大胆な脈模様ですが、ベース色に自然な黄色味が入り、上品で温かみのある印象になります。グレーに加えゴールドブラウンの模様が入ります。

カラカッタ・エリート
マルミマキシマム 4620P・20P/マーブルラブ 1220・1320P
ベースは色はカラカッタ程度の黄色味ですが、カラカッタの中でも特にゴールドブラウンの脈模様が強く華やかで、特別なゴージャス感を表現しています。

その他の白としては、脈模様の表現を極力控えめに、自然な感じに表現したプレミアムホワイト(マルミマキシマム 4660P・60P/マーブルラブ 1260・1360P)や模様が全くない純白のタソス(マルミマキシマム 4601P・1P/マーブルラブ 1200・1300P)があります。いずれも歴史が長く、深く豊かなイタリアの大理石文化がタイルの種類にも反映しています。特にカラカッタにおいてその特徴が強く出ています。

プレミアムホワイト
マルミマキシマム 4660P・60P
マーブルラブ 1260・1360P

タソス
マルミマキシマム 4601P・1P
マーブルラブ 1200・1300P

 

ソリッド・ドレープ(Solid Drapery)

硬いタイルを柔らかいカーテンに見立てた展示。

2019年9月下旬にイタリア・ボローニャで開催されたタイルと水回り設備の展示会チェルサイエの展示ブースのデザインです。
このデザインは、Studio MILO というミラノとロンドンにオフィスを構える女性デザイナー二人組による設計で、ソリッド・ドレープ(Solid Drapery)と名付けられました。
ソリッド・ドレープとは、硬いカーテン素材という意味で、セラミックタイルの表現力を強調するために、大型のフォーマット(3002×1500×6mm)を活かして、船の帆のようなカーテンをモチーフとした造形です。硬質のタイルを柔らかなカーテンとして表現した、対照的な感覚のデザインが秀逸です。また、このブースでは、垂直面と水平面から構成される壁や床だけでなく、本箱、ベンチ、対面の座席、コーヒーテーブル、会議用テーブル、シャンデリアなど、タイルを材料とした様々な特注家具を提案しています。
 
ソリッド・ドレープは、イタリア・インダストリアルデザイン協会主催の「ADIブースデザイン賞2019」インテリア部門のベスト・スタンド賞に選ばれています。


マルミマキシマム・アガタブルーの通路

マルミマキシマム・アマゾナイトのシャンデリア

タイルの本棚

マルミマキシマム・ホワイトビューティーのグレー色(特注品)を使用した優雅な間仕切りとベンチ(左)。縦に細かくカットして、小さな曲線を表現した対面テーブル(中央)と洗面(右)。

マルミマキシマム・アガタ

Marmi maximum - series AGATA
 
マルミマキシマムシリーズが、進化したテクノロジーと装飾デザインの開発で培ってきた技術を積み重ね、新たに登場した製品です。不規則に配置された画面いっぱいの同心円に色彩のコントラストと陰影が加わり、表面の柄に奥行き感を与えています。
アガタアテナ、アガタブルー、アガタブラックの3色展開で、それぞれブラウン系オレンジ、ブルー、ブラックを主な色合いとしています。


アガタアテナ 910P

アガタブルー 920P

アガタブラック 930P

アガタブルー 920P

アガタブラック 930P

マルミマキシマム・ホワイトビューティー

Marmi maximum - White Beauty

白、緑、灰色、黒の長石で構成された珍しいアジア産大理石からインスピレーションを得て、豊かで独創的なデザインを創り出しています。希少でエキゾチックな質感と洗練された仕上げ、その細部に宿る深く美しい輝きは、驚くような効果をもたらします。


ホワイトビューティー 330P(床)

天然石(上)とタイル(カウンター)

マルミマキシマム・アマゾナイト

Marmi maximum - Amazonite

アマゾナイトのテクスチュアは古代エジプト人によって「希望の石」と呼ばれた宝石にインスパイアされたデザインです。ブラジルで実際に採掘される青緑色のアマゾナイトは、非常に珍しい鉱物であり、青緑の大胆な斑点の中に、茶色・ピンク・白・グレーなど複雑に色彩が入り混じった非常に美しい宝石です。


アマゾナイト 320P(床)

天然石(上)とタイル(カウンター)

マルミマキシマム・アズールマカウバス

Marmi maximum - Azul Macaubas

アズールマカウバス 310P(床)

白からブルーにかけての繊細な配色と、流れるような葉脈模様が特徴です。ゴールドやベージュが散りばめられたスプラッシュ斑が加わって、深みのある優雅さを備えています。洗練された美的空間をカスタマイズするには、理想的な素材です。


池の水に見立てたショールーム展示。

大判で装飾性豊かなタイルが続々と開発されています。新しいタイルの使い方を考えてみませんか。