HOME | Design award | 第5回 DA2020受賞作品(非住宅)
 

WINNER 2020

非住宅部門

金 賞
 

ガナエ洋菓子舗
株式会社 saw design office

[テーマ:小さな美術館のようなお菓子やさん]
 
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設計:株式会社 saw design office 施工:株式会社 真聖建設 撮影:アセムスタジオ 白潟 禎
大通りから一つ入った閑静な住宅街にある小さな洋菓子店。 目の前には田んぼが広がる。そんな住宅街に馴染むようなやさしい形をタイルでデザインしました。 目立たないけれど「あれ、なんだ?」と振り返ってくれるような佇まい。 やさしい色合いのタイルがとてもマッチしていると思います。 アールの部分は取り合いが難しく、職人さんもかなり苦労されていましたが、本当に素晴らしい仕上がりに。お施主様や来店されるお客様にも感動していただけ、私たちも本当にデザインした甲斐がありました。
「エリアボーダー彩」軒の出パラペット・店舗出窓

従来の常識に一切とらわれていないセラミックタイルの使い方に成功したプロジェクトです。単に外壁を覆うだけではなく、屋根の周りの欄干を強調するために使用されています。更に言うと、普段デザイナーはできるだけスリムにすることで注意をそらすようにしますが、ここでは、大きな球根状の形で屋根が目立つことにより、細かな白いセラミックタイルがより目を惹きつけ、美味しいお店の象徴的な看板になっています。繰り返しますが、通常私たちが黒いサッシ出窓を対照的な白いセラミックタイルで覆うことは考えないでしょう。しかしここではあえて視線を内部へ導くような完璧なフレームを形成しているのです。

アストリッド・クライン 氏
銀 賞

両国湯屋 江戸遊
株式会社 久保都島建築設計事務所

[テーマ:北斎の描いた、漂う雲の合間に浮かぶような浴場]
 
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設計監理:久保秀朗 + 都島有美 / 久保都島建築設計事務所 撮影:Koji Fujii / Nacasa & Partners Inc.
コンストラクションマネジメント:龍 治男 益田 英明 森 正夫 / 佐藤総合計画 構造設計:今川 憲英 今川 聖英 / TIS&PARTNERS
設備設計:柿沼 整三 伊藤 教子 根本 晋吾 / ZO設計室  照明計画:杉尾 篤 グラフィック:粟辻 美早 粟辻 麻喜 / 粟辻デザイン
施工:松井建設 クライアント:東新アクア
両国の北斎通りに面する温浴施設「江戸遊」の増築・改築プロジェクト。葛飾北斎ゆかりの地で江戸をテーマにした都市型スーパー銭湯です。 場所ごとに様々な種類のタイルを用いた新館の女性風呂は、北斎の描いた浮世絵「凱風快晴」の雲が浴場全体に広がっていき、漂う雲の合間にいるようなイメージのデザインを考えました。掛け湯からはじまり、高濃度炭酸泉、ジェットバス、水風呂など様々な種類のお湯を楽しく巡れるよう、それぞれ形の異なる雲形の浴槽には高低差もつけ、お湯ごとに違った風情を感じられるように計画しています。北斎のもつ世界観にインスピレーションを得ながら、現代的あるいは近未来から見た江戸の世界の構築を目指しました。
アートモザイク施釉10角」浴場 壁
「マキアーラ」浴場 床
「ホルトカラー」浴槽内 床・露天風呂 床
「アイグス」露天風呂 壁
浴場という、極めて高いプライバシーが要求される用途でありながら、心地よい光が印象的な作品。雲をイメージしたコンセプトから、全体を白い色調にまとめつつも、少し色づいた床タイルや、曲線に合わせたタイルなど、細やかな検討がうかがえる。最も目をひくアートモザイクタイルの壁画は、文句なしの大作だが、10mmのピクセルが、結果的に雲に霞んだような幻想的な風景を作り出している部分も興味深い。
猪熊 純 氏
銅 賞

スタージュエリー 渋谷スクランブルスクエア店
株式会社 丹青社

[テーマ:CRAFTSMANSHIP ~クラフトマンの精神~]
 
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撮影:鈴木 賢一

1946年、横浜・元町に創業した「スタージュエリー」のリブランディングプロジェクト第一段としてオープンした渋谷スクランブルスクエア店。 店内中央には、新たな「象徴」となるメイン什器を計画。 その象徴に相応しい形を導き出す際に、まず人間にとっての宝石の原点とは何かを考えた。 その第一は「石を削る・磨く」という人の手による行為。 大きな石を削り出すように多面体でシルエットを構成し、表面を磨き上げた石の表情を持たせ、そこはかとなく「人の手による彫刻」を思わせる造形美を生み出した。 スタージュエリー創業当初から変わらない「クラフトマンシップ」の精神が宿る新生スタージュエリーの新たなアイコンとなっている。

「マルミマキシマム」メイン什器
「ノール」壁・床

まるで岩場から削り出した無垢の石材のように見える什器が、共用通路に向けて突き出している。店内には、石塊のような表情を持つタイルと、鋭角な造形が多く用いられており、「鉱物」や「きらめき」を連想させる。こうしたデザインが、「この店が宝石を扱う業態である」ということを直感的に表現しえている。什器が「無垢の石材」のように見えるのは、精緻な施工技術によるところも大きいだろう。この銅賞は、設計者へはもちろんのこと、施工者へも贈呈したい。

塩田 健一 氏
入 賞

PICTORU みたかクリニック
高野俊吾建築設計事務所

[テーマ:進化した皮膚のような壁]
 
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設計:高野俊吾建築設計事務所 サインデザイン:株式会社 kenma 施工:株式会社 エムズ 撮影:千葉 正人

画像診断により的確な診断を提供する整形外科クリニックである。 不安を抱えて来院する方に良好な内部環境を提供することを目的とし、吸湿・消臭性能を持つ自然素材の塗り壁を採用している。塗り壁には車いす・ストレッチャなどの衝突に対する保護のために丸形のモザイクタイルを施している。これはデジタルデータを駆使して医療に貢献する「PICTORU」のブランディングイメージである「ピクセル」をモチーフとし、強度を必要とする部分にドッドが集まり塗り壁が有機的に硬化する様子、”有機体の皮膚が進化する様”をイメージしている。 モザイクタイルを用いた有機とデジタルの表現、機能と意匠の統合により特徴的なデザインとなっている。

「チェルキオ」 待合室 壁・腰壁・コーナーガード・トイレ 壁

機能優先で、デザイン要素を盛り込むのが難しいクリニックにおいて、むしろ機能からデザインを引き出す、秀逸な作品。ピクセル状のタイルを集めたコーナーは衝突保護のためだが、同時にコーナーは、街の交差点のように、視覚的にも際立ち、施設全体の印象に大きく貢献している。サイン計画も同じピクセルを利用する徹底ぶりが、ちょっとした愛嬌あるポイントにもなっていて好感が持てる。

猪熊 純 氏
入 賞

ST 曽根崎ビル
株式会社  MORI デザイン建築事務所

[テーマ:街中での存在感。]
 
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大阪市の御堂筋に面した立地に商業ビルとして存在感のある建物となるようなファサードを目指しました。 ガラス構成のデザインのビルが立ち並ぶ中で同じようなデザインでは埋もれてしまうので、重みのある下層部のデザインと少し軽くした上層部のデザインをタイルで構成しました。 ガラスをうまく使用することによりタイルの重厚感を生かしながらも重すぎないファサードができたと考えています。 下層部は特にこだわり、テラコッタを特注対応で型から起こして焼きました。 仕上がりについても「よい色幅」ができており満足しております。

「テラコッタ(特注品)」外壁
「テラコッタルーバー(特注品)」外壁
「バレンシアボーダー」外壁
「ウォークス」屋内 床・階段

応募作の中で、比較的大きなビルの外壁にタイルを用いるという事例が少なく、「ST曽根崎ビル」は目立っていた。また、今の時代の流れとして、タイルを用いた空間デザインであっても、軽やかさやカジュアルさを志向したものが多いが、そうした中でこのプロジェクトは、重厚感や格調を表現するという、タイルの「王道」の使い方を行っており、その点でも目立っていた。特に、手間暇のかかったであろうテラコッタの特注タイルが強く印象に残った。

塩田 健一 氏

 

入 賞

海沿いベンチ
有限会社 マイト

[テーマ:タイルのポテンシャル]
 
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設計・施工・撮影:有限会社 マイト 佐々木 康至

こちらのベンチは、淡路島の青い海と広い空が視界いっぱいに広がる個人様別荘のお庭です。 抜群のオーシャンビューを借景し、そんな贅沢な非日常をアートなタイルで製作しました。 材料には色も質感も味わい深いスペインタイルを採用し、電動工具を使うことなく職人が一枚ずつ全て手作業で小さく切断しながら張り上げています。 視覚的にも本来硬いはずのタイルを曲面に沿わせることで柔らかさを、円形のラインを幾重にも重ねることで飛び出すような奥行き感を、楽しんでもらえるように表現しました。 タイルが持つ力、タイルだからこそできるデザインで創ったこのベンチが、オーナー様がゆっくりと別荘ライフを楽しむ一助になれれば最高です。

「マヨリカ」ベンチ

このベンチが穏やかな海辺にたたずむことで美しい景色が広がることはもちろんですが、どんな環境に置かれたとしても見る人に喜びと明るい光をもたらすことは確かしょう。丸みを帯びたベンチには、丸い太陽、丸い花、丸い花火にも似た模様が描かれており、どれも人生の幸せな瞬間を思い出させてくれます。数え切れないほどの時間をかけて無数のモザイクタイルを手で切り、愛情を込めて組み立てていくという多大な労力を感じるこのベンチに、人は瞬時に恋してしまうのではないでしょうか。日本の海岸沿いにこのようなユニークで芸術的なベンチが点在したらどんなに素敵だろうと想像せずにはいられません。

アストリッド・クライン 氏
特別賞 ~進化する店舗賞~

TOUCH TO GO 高輪ゲートウェイ駅店
 DESIGNESS®︎ inc.

[テーマ:Wandering Wonder]
 
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商品をAIにより把握し手に取った時点で決済が完了する仕組みである日本初の無人AI決済レジ店舗です。クリエイティブコンセプトを「“Wander”= ふらっと “Wonder”= 驚き」としました。空間デザインは、全体的に黒色で構成しており未来に向かって発展し続ける潜在化された技術です。その圧倒的な技術の強さと無限に広がる宇宙のような暗然としたさまを天井の空間に、カメラで投影するデジタルピクセル化されたイメージを壁面のランダムなタイルパターンに、空間を見立てました。 小売業人手不足という社会問題の解決の糸口として、潜在化された働き方の解像度を高めたいという想いで空間性を企図しました。

「シェヴロンウォール」壁

新駅に誕生した、「無人AI決済レジ」を採用した店舗である。天井と棚に仕込まれた無数のカメラが、客が手にした商品を認識する。いわば、近未来型のコンビニエンスストア。こうした前例のない業態をデザインすることは、思いのほか難しい作業だ。そうした中で、この空間は、平行四辺形の黒いタイルを全面的に用いて、未来性、スピード感、テクノロジーといった店の特性を端的に表現しえている。今後、ウィズコロナ時代に、こうした「非接触」「非対面」の運営形式を採用する店は増えるのではないか。

塩田 健一 氏

過去の開催情報

第8回

Design Award 2023

第7回

Design Award 2022

第6回

Design Award 2021

第5回

Design Award 2020

第4回

Design Award 2019

第3回

Design Award 2018

第2回

Design Award 2017

第1回

Design Award 2015