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TILE TREND COLUMN #46

木を写す、編む、彩る|木目調タイル、再現のその先へ

木目調タイルの意匠は、表現の幅を大きく広げつつあります。かつては、天然木の色や木目、節などをどれだけリアルに再現できるかが、その表現方法の要でした。しかし近年では、ひとつの樹種が持つ個性をより深く引き出したものや、複数の形状や木目の向きを組み合わせたもの、さらには天然木にはない色彩を取り入れたものまで、その表現はより自由になっています。木を忠実に「写す」だけではなく、形や張り方によって「編む」、色を重ねて「彩る」。木目を起点に新しい空間の表情を生み出すことが、これからの木目調タイルが提案する新しい価値です。今回は、2026年の新商品「コンテンポラーチ」「プリミティーヴォ」「マデラセレナ」を通して、進化する木目調タイルの現在を「写す」「編む」「彩る」という3つの視点からご紹介します。


コンテンポラーチ
CLG-O7720

プリミティーヴォ
PST-O1730・X1731・F1730

マデラセレナ
AIC-O5530

天然木を再現する、その先へ

製造技術の進化によって、現在の木目調タイルは、色の濃淡や節、繊維の流れ、木肌の細かな質感まで、本物と見紛うほど繊細に表現できるようになりました。そうした再現性の向上という観点から、近年はさらに一歩踏み込み、天然木をどのように解釈し、デザインとして進化させるかに目が向けられています。例えば、特定の樹種が持つ木目や質感を際立たせ、森の気配まで感じさせるように表現すること。小さなピースを組み合わせ、床面そのものにリズムを生み出すこと。そして、木目の風合いを残しながら新しい色彩を重ね、天然木にはない印象へと展開すること。天然木の美しさを起点としながら、樹種、形状、張り方、色彩によって表現の幅を広げていく──そこに、現在の木目調タイルならではの魅力があります。

森の気配を「写す」
コンテンポラーチ / Contempolarch  NEW

「コンテンポラーチ」は、カラマツの質感をモチーフにした木目調タイルです。カラマツはイタリア語で「Larice(ラリーチェ)」と呼ばれ、アルプス山脈などの高地にも自生する針葉樹です。ヨーロッパの建築文化の中でも親しまれてきた樹種で、はっきりと刻まれた年輪や無垢材を思わせるダイナミックで力強い木目が特徴です。「コンテンポラーチ」は、そうしたカラマツならではの生命力を感じさせる木目と、繊細な木肌の表情を丁寧に表現しています。明るく黄みを帯びた木肌は空間に自然な温もりをもたらし、均一になりすぎない木目や節がラスティックなアクセントとなります。力強さと繊細さが共存するその表情は、現代的な建築の中に森の息吹を運んできてくれるでしょう。
単に木目模様を写し取るのではなく、カラマツが持つ品格や存在感を空間に表現することまで考えられたこのコレクションは、長く過ごすほどに愛着を深めていくマテリアルです。 


カラマツの木

形状は木目の流れを美しく見せる1202×200角で、細長い形状を連続させることで視線を奥へと導き、空間に伸びやかな広がりを生み出します。明るく柔らかな色から深みのある落ち着いた色まで6色のバリエーションで、明るい色は白やベージュを基調とした空間に穏やかな温もりを、深い色は木の存在感をより高め、グレーや石材、金属などの硬質な素材と組み合わせることで洗練された印象をつくります。


コンテンポラーチ CLG-O7720

カラー7730(2400×300角 受注輸入形状)

カラー7760(1800×225角10厚 受注輸入品)
CLG-O7710
CLG-O7720
CLG-O7730
CLG-O7740
CLG-O7750
CLG-O7760

「コンテンポラーチ」が写し出すのは、表面的な木目模様だけではありません。木が持つ力強さや繊細さ、そして森林に包まれるような深い静けさと落ち着き──その目には見えない気配までを空間に取り込む、現代的な木目調タイルです。

木を並べ、空間を「編む」
プリミティーヴォ / Primitivo  NEW

木材は古くから、向きや長さの違う板を一枚一枚組み合わせることで多彩な床の表情を生み出してきました。なかでも寄木細工は、小さな木片を緻密に組み合わせて幾何学的な模様やリズムを描き出す伝統的な表現です。「プリミティーヴォ」は、個性の異なる3種類の木材をモチーフに自然の素朴さと洗練された意匠を重ね合わせ、木目を「柄」として組み立てる楽しさを現代のタイルへと落とし込んだコレクションです。なかでも特徴的なのは、細かな木片を編み上げたような寄木細工を再現した600角と小型で細長い形状の400×75角で、小さな木目を連ねて向きや配置を変えることで床面に繊細なリズムと奥行きをもたらします。


PST-X1721・F1720

PST-F1710

1200×200角の形状もあり、木目を伸びやかに見せる、よりシンプルな展開も可能です。同じ木の表情でも、長尺形状で連続させるのか、小さな形状を組み合わせて模様をつくるのかによって、床の印象は大きく変わります。木目を選ぶだけではなく、どのような形でどの方向へ並べるのかを考えることで、床は単なる背景から空間の個性を形づくるデザインへと変わります。「プリミティーヴォ」は張りパターンをデザインとして楽しめる、木目調タイルの新しい表現です。


PST-O1730・F1730
PST-X1711
PST-X1721
PST-X1731
1710(平)・1810G(粗目)
1720(平)・1820G(粗目)
1730(平)・1830G(粗目)

木目を「彩る」
マデラセレナ / Madera Serea  NEW

“天然木の色”と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはベージュやブラウンといった温かな色調でしょう。しかし近年の木目表現では、樹種本来の色彩を再現するだけでなく、木目に新しい色を重ね、空間のテーマに合わせて選ぶ提案も広がっています。「マデラセレナ」は、繊細な木目が持つ自然な優しさを残しながら、ベージュ、グリーン、ロッソ、ホワイトという明るく洗練された色彩を融合したコレクションです。天然木の温もりと磁器質タイルの性能を両立し、従来の木目にはない独創的な表情を生み出しています。

AIC-O5510
AIC-O5520

木目を茶系の床材として捉えるのではなく、壁や床を構成する「色」のひとつとして選ぶこと──それが「マデラセレナ」の大きな魅力のひとつです。柔らかなベージュ(5520)は、木目の自然な温もりを活かしながら空間を明るく整えます。穏やかなグリーン(5530)は植物や自然素材と調和し、落ち着きのある印象に。ロッソ(5540)は、木目の瑞々しさを残しながら空間に印象的なアクセントを加え、ホワイト(5510)は木の繊維を繊細に浮かび上がらせます。形状は、木目をゆったりと見せる幅の広い長方形(1000×250角)で、木目の流れと色の存在感をバランスよく組み合わせています。色を加えることは、木らしさを失わせることではありません。木目が持つ規則性と揺らぎが残されているからこそ、鮮やかな色彩も空間の中に自然となじみます。木の表情をそのまま再現するのではなく、色を重ねることで新しい魅力を引き出した「マデラセレナ」は、木目をより自由に“彩る”創造性に満ちたコレクションです。

AIC-O5530
AIC-O5540

今回ご紹介したタイルは、いずれも木をモチーフにしながらそれぞれ異なるアプローチで木目の新たな表情を表現しています。「コンテンポラーチ」は一つの樹種にフォーカスして森の気配や木の品格までを写し取り、「プリミティーヴォ」は形状や木目の方向を組み合わせ、床面を寄木のように編み上げます。「マデラセレナ」は木目に新たな色彩を重ね、天然木にはない新しい表情を生み出しています。木目調タイルは、天然木の代わりとして選ばれる素材から、木の表情そのものをデザインし空間の個性を創造するマテリアルへと進化しています。天然木が育んできた美しさを受け継ぎながら、木を写し、編み、彩る──それこそが、木目調タイルが「再現」のその先で見せる新しい可能性といえるでしょう。

 
 

2026.8.27

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