HOME | Design award | 第6回 DA2021受賞作品(非住宅)
 

WINNER 2021

非住宅部門

金 賞
 

御門屋 中目黒店
ROWEDGE INC.

設計/ROWEDGE INC. 施工/LIBERTY CORPORATION 撮影/宮本啓介

JAPANESE HANDCRAFTED
揚げまんじゅうとおかきで親しまれている、御門屋さんの路面店です。御門屋さんの商品の持つ色合い・素材感と、「カンドライト」の持つ色目や素材感の共通した上品さ、それと丁寧なクラフト感。また、街の舗装と店舗の床が、街と繋がる様に10 色でデザインしました。

「カンドライト」CHO-100〜900・1100

前面道路の舗装を引き込むように、床全面にタイルを貼っている。10色の色味とクラフト感あるテクスチュアで、見ていて飽きない。浮かした什器も、タイルの効果を後押ししている。タイルが強い印象を生み出しつつも、決して華美ではなく、頻繁に通いたくなるような日常性も獲得している。街との連続性、什器とのバランス、色彩の統一感、商品との親和性など、多様な視点が考慮された上での「カンドライト」の使用となっており、社外審査員3人が高得点を投じ、満場一致で金賞となった。

塩田 健一 氏
銀 賞

Research Gate Building
TONOMACHI -3-
大和ハウス工業株式会社

風と人の通り道
最先端の研究施設が集積するレンタルラボ。建物を東西に貫く40m超のエントランスホールには研究者とともに風が流れ込み植栽を心地よく揺らします。単調になりがちな長い壁面のタイルには数mm勝たせた真鍮棒をランダムに挟み込み間接照明による陰影と素材の違いによって流れとリズムを出しています。人と風の流れは床面で表現し、その両脇にできた滞留部の床にはアンティーク調のタイルと家具を配置し、研究者が交流出来る空間を配置しました。最先端の研究もすべては長い年月をかけ培った技術の延長線であることから、タイルも近未来を感じさせるモノトーン調のものと歴史を感じさせるアンティーク調なものを融合した空間としました。

壁/「ラボ325」ABI-Q7130・Q7131
床/「アルファヒルズ」ALF-Q3310・Q3350
床/「タングラム」VVA-AB1720-9M
床/「コンテクスト」AST-U7120G

研究施設が集積するレンタルラボということで、その機能にふさわしい先端性、清潔感、信頼感、品格が空間に求められたはずだ。そうした要素を、床壁に用いた4種類のタイルが表現している。また、床材を貼り分けることによって、長さ40mのエントランスホールにリズムと動きを生み出し、大空間が単調にならないよう設計している。更に、そこに「流れと溜まり」をつくり、研究者らのコミュニケーションスペースも生まれている。家具や植栽とも調和しながら、人間味のある研究施設となっていることに共感した。

塩田 健一 氏
銅 賞

全国信用組合会館
株式会社石本建築事務所

設計/石本建築事務所 福地拓磨+舩越克己 撮影/川澄・小林研二写真事務所

繊細な立体格子による裏表のない建築
全国信用組合会館は東京駅にほど近い主要幹線道路から一筋内側に入った場所にある。計画地は4周道路に囲まれた単独街区であるが周辺の高層建物群は計画地側に裏を向けて建っているため、どの通りにも正対し周辺の裏通りを表に変えてしまうような裏表のない建築となることを目指した。クライアントのアイデンティティを表現する繊細で美しい立体格子の外観デザインは、ディテールを追求した大型セラミックタイル打込みGRCパネルによって実現されており、この外装を全面的に採用するのは本件が日本で初めてであった。夜になると各柱前に設置された外構照明により光の立体格子が現れ、周辺の街並みに明かりを灯す存在となる。

「Made2.0 Concrete Series」2500×620角 受注輸入品 イタリア製

イタリアモダニズム建築を彷彿とさせる美しい格子。4面外観すべてがこの格子の構え、全体が立方体のようなフォルム。極シンプルでいて特徴的だ。天然石では出ない大判タイルのシャープな面と薄く鋭いエッジライン、各柱に1本の横目地を走らせアクセントリズムをつくり出している。建物全体から醸し出される緊張感ある精度は、全面がセラミックタイル打込みGRCパネルによる。高い施工精度がエッジの利いた精悍なフォルムを実現させている。写真は無く残念であったが、周辺の街並みに放たれる灯とタイルの関係も期待する。

五十嵐 久枝 氏
入 賞

JR SENDAI EAST GATE BLDG.
東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社
東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所
株式会社JR東日本建築設計

事業者/東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社 設計/東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所 株式会社 JR東日本建築設計

素材とスケールをトリムしたエントランスホール
JR SENDAI EAST GATE BLDG. は駅から直結するオフィスビルとして計画された。オフィスエントランスはロビー機能をもつホールで繋がれ、そのファサードは圧倒的なサイズ感で表情豊かな大判タイルにより、魅力的で上質感のある顔を作り出している。きめ細やかな石の素材感をもつ無彩色の床タイルにより、オフィス・商業・駅といった特定の利用シーンにとらわれない、様々な場面が共存するホール空間とした。

床/「ペトラエ」RFN-U6910G

壁/「Royal stone」3002×1500角 受注輸入品 イタリア製

2021年に竣工した駅直結のオフィスビル。そのエントランスホールである。こうしたプロジェクトを設計する上で難しいのは、「保守性(安定感、普遍性)/革新性(新しさ、現代性)」のバランスをどう取るかである。その課題を、3×1.5mという巨大タイルを大胆に使い、見事に解決している。まず、大判タイルで存在感、重厚感、高級感を創出している。と同時に、近年のデザイントレンドである「不均質なグレー」「クラフト感」「自然素材を加工せず丸ごと使う」といったイメージを、一つの素材で体現している。

塩田 健一 氏
入 賞

富士市新環境クリーンセンター循環啓発棟
企業組合 針谷建築事務所

花さかふじさん
建物はごみ焼却場の排熱を利用した温浴施設です。縦4.2m×横11mの浴室の壁に「麻の葉」を使った富士山を描きました。青を基調とした富士山の中に「麻の葉」ならではの、色や形を活かした花模様を散りばめました。お風呂につかりながらゆっくり眺める環境に、遠くからは絵として、近くからはタイルの繊細さを楽しめるようなデザインを意識しました。

「麻の葉」 特注デザイン張り

「麻の葉」を大胆に使った絵画的な作品。特殊な形状でピースの小さなタイルを、丁寧に割り付けた壁面は、この大浴場を唯一無二のものとしており、素晴らしい。遠くと近くで、味わい方が異なるのも、タイルならではだ。あえて指摘するならば、せっかくの富士山に対して、洗い場の腰壁の存在感が強いことが少々気になるが、設計者の思いのつまった力作といえるだろう。

猪熊 純 氏
入 賞

グランドニッコー東京ベイ 舞浜
レストラン/ガゼボ・チャペル
株式会社丹青社

事業主/みずほ信託銀行株式会社 ヒューリックホテルマネジメント株式会社 オペレーター/株式会社オークラ ニッコー ホテルマネジメント
デザイン・設計・制作・施工/株式会社丹青社 撮影/鈴木賢一

Provence garden
自然光降りそそぐ国内最大級のアトリウムロビーのテーマは“Provence Garden”。光・緑・水に包まれるチャペルBotanical Chapel、ロビー中央の多目的空間のガゼボBlossom Gazeboを新設。Botanical Chapelは、緑で包まれた象徴的な木のアーチ、壁面の割れ石など自然素材をベースに、昼は木漏れ日の中にいるような空間を演出。夜は照明によるライトアップにより祭壇のモザイクタイルが神秘的な輝きを魅せる。Blossom Gazeboは、ゲストを包み込む円柱の緑と南欧の花々をイメージしたカラフルなタイルにより、ロビーの象徴的なエリアとなるフラワーガーデンを演出した。また、オープンエアの中で光・緑・水に包まれるエリア最大級のブッフェレストランのテーマは“Garden Party”。テラス席によって開放感を感じるライブキッチンでは、カラフルで賑やかなマルシェのようなイメージを、鮮やかなイエローやグリーン×白のタイルのパターンによって表現。客席スペースでは、ガーデン空間と調和しながらも、光や奥行き感を感じるカラータイルを用い、質感と賑わいを演出。色とりどりのカラータイルと食を感じる演出が、ホテルで楽しむ非日常の時間にさらなる彩りを与える。

ガゼボ床・ブッフェ壁/「カプレーゼ」SGO-L7710・L7720・L7740・L7701-M
ブッフェ壁/「マヨリカモデルナ」ISC-F6700・F6770
ブッフェ壁/「モデルニスモ」SGO-L9193-9M
チャペル壁/「ストリングスグラス」TCT-R2000
チャペル壁/「ピカディエットグラス」TCT-R6000

非日常の滞在体験の中心的な役割を担うアトリウムにおいて、タイル表現の多彩さを見せつけてくれる作品だ。大変広い範囲のアトリウムにおいて、黄緑と黄色の明るい色使いの「マヨリカモデルナ」、白と青の装飾的な「カプレーゼ」を、賑わいの中心となる特別な場所に配置するなど、全体計画の中での入念な配置とセットで提案されているのが印象的。華やかで楽しげな印象とは対照的に、検討し尽くされたタイルの利用が見て取れる。

猪熊 純 氏
入 賞

ホテルモントレ神戸
Qデザインオフィス+nyデザイン

画像提供/株式会社大本組 インテリアデザイン/Qデザインオフィス 臼井憲二 スパ・サウナ関連 デザイン/nyデザイン 野出木貴夫

モントレ神戸リボーン
地元で長く親しまれた個性的なホテルを建て替えるにあたり、時を積み重ねた雰囲気が新築の建物にも感じられるよう演出を心掛けました。ずっとここに建っていたというのがコンセプトです。

サウナ壁/「いちょう」ICH-002・003・004・006・007・008
サウナ壁・天井/「アートモザイク施釉10角」ATS10-MIX-7
サウナ壁/「クロロ」KLO-002L/M/S・003L/M/S ミックス
ロビー腰壁/「コンテクスト」AST-U7010
朝食会場 腰壁/「ラヴェナ」MZU-F1900・F1920・F1930

薄暗い空間に、モザイクタイルの煌めきが相性良く映えるサウナ空間。天井の入り隅ラインはカーブで消され、滑らかに曲面で覆われた天井にはいくつも星が輝いているようで心を掴まれる。筒状の空間がミストに緩くカーブを描かせ、サウナの視覚的効果も期待できる内的空間、幻想的で陶酔してしまいそうなリラックス空間だ。足元の間接照明の光は強すぎないだろうか。上部の小さな煌めきとのバランスはどうだろうか。是非体験してみたいものだ。

五十嵐 久枝 氏

過去の開催情報

第8回

Design Award 2023

第7回

Design Award 2022

第6回

Design Award 2021

第5回

Design Award 2020

第4回

Design Award 2019

第3回

Design Award 2018

第2回

Design Award 2017

第1回

Design Award 2015