HOME | Design award | 第7回 DA2022受賞作品(非住宅)
 

WINNER 2022

非住宅部門

金 賞
 

WHITE ESSENCE 名古屋 栄
株式会社スペース

株式会社スペース 土部夢子

Crystal Hexagon
健康的な歯とすてきな笑顔を創出しデンタルエステサービスを提供する歯科医院。輝く歯のクリスタルを象った六角形のモザイクタイルと高精度3Dプリンターによるライティングオブジェクトが組み合わさり、ダイナミックに煌めくグラデーション壁面を制作しました。ラウンド型で包み込むような光とミラーアートのリフレクションによって更に輝く華やかな空間を演出し、通うのが楽しくなる唯一無二の医院空間を創造しました。モザイクタイルは、原産国にて特注のデザインを数パターン作成し、シートをランダムに並べてグラデーション壁面を制作しました。海外とのやりとり含め調整いただいた営業担当者様の努力によって実現出来たことを感謝致します。

「アニエルグラス」LSN-R5010・R5070#・R5080# 特注デザイン

オリジナルのモザイクタイルを組み合わせ、タイルの装飾性を存分に発揮した作品となっているところが素晴らしいと感じました。照明計画と一体となり、タイルが光をキラキラと反射し、空間全体がタイルでなければ実現できない空間になっていると感じました。こうした壁面が、もっと大きなスケール建築で実現されたなら、どのような空間になるだろうと想像が膨らみました。

大西麻貴 氏
銀 賞
 

長崎街道かもめ市場
九州旅客鉄道株式会社・株式会社JR長崎シティ・株式会社乃村工藝社

施主 九州旅客鉄道株式会社 株式会社JR長崎シティ デザイン 株式会社乃村工藝社 平山淑貴 波田英昭 井上博未

海と光のまち長崎
港に面した陸の玄関口である長崎駅改札前に新しく出来た商業施設のファサードに、青海波をモチーフにした青と白の特注タイルを用いて長崎港の水辺と波間にきらめく光を表現しました。釉薬に長崎のお土産「ビードロ」の原材料(ガラス)を混ぜることで、その土地ならではのきらめきを創りだし、また、形状にまるみを与え陰影を生み出すことで「波のうねり」を感じるように設計しました。

特注品(青海波型)

長崎の”食”やお土産が並ぶ商業施設のファサードである。こうした施設では、平面的なグラフィックを用いて平板なデザインになるケースが多く見られるが、この「長崎街道かもめ市場」では、ファサード上部に大胆に特注タイルを張り、色味のバリエーションや張り方のパターンを複雑にすることで、立体的で豊かな表情を生み出している。また、このタイルは、具体的な図柄になり過ぎていないため、海の水面に見えたり、かもめが飛び交う空に見えたり、おそらく見る人によって印象が異なる多義的なデザインとなっている。

塩田健一 氏
銅 賞
 

蒲郡ベンチアートプロジェクト001「タ」
itoto architects

デザイン・設計 itoto architects タイルデザイン 安藤昇
ディレクション Aichi Artbrut Network Center 施工 株式会社トミタ 撮影 植村崇史

文字の継承
蒲郡市の竹島を望む国定公園にベンチを設置するプロジェクト。アートの中に身を置いて、思いを巡る場をつくる空間インスタレーション作品の制作。ベンチ形状は「タ」をかたどったコンクリート製のベンチで、イースター島のモアイ像のように地中に半分埋めている。文字が進化を続けてきた歴史を反芻しカタカナをデザインに取り入れている。文字は今も変化を続けているのだとすると、ベンチが掘り起こされる頃にはカタカナは存在しているのだろうか。タイルデザインは貼り絵で有名なアールブリュット作家の安藤昇氏によるもので、ベンチから見える竹島の風景を模している。タイルに包まれた空間は人々の心情に寄り添うかのように優しく佇んでいる。

「アートモザイク施釉10角」特注デザイン

海に浮かぶこんもりとした竹島の姿を背景に、やや異質な幾何学的な工作物がポツンと置かれている。詩的であって少しユーモラスさを感じさせてくれるのは、斜めや止めのある造形が理由かもしれない。空洞部分内側に施された細かいモザイクタイルは魅力的で懐かしい風呂場を思わせる。絵にも何処か懐かしく穏やかな竹島の風景だと感じるだろう。実際の美しい海を眺めながらその海の絵に囲まれる不思議な空間体験ができると知り、ゆっくり佇みながら何を思い考えてしまうのか。想像と期待を膨らませる作品である。 

五十嵐久枝 氏
入 賞
 

岐阜麦酒醸造 岐阜町醸造所 Tap Room YOROCA
株式会社ミユキデザイン

清流長良川の水流をイメージしたマイクロブルワリー
岐阜市旧市街である伊奈波神社・善光寺参道に面するマイクロブルワリーの計画。空き家・空き店舗が点在したエリアの再生に向けた取り組みの一環であり、建物活用のみならず周囲への波及効果が期待されることから、沿道への拡がりを意識したデザインとした。小さな醸造所に併設されたタップルームでは、ローカルならではの素材や岐阜の恵みを感じられるよう、限られた面積の中に多様なテクスチャーが同居することを目指した。具体的にはタップが取り付く壁面を清流長良川に見立て、青〜緑系の9種類のタイルによるパッチワークで水面や水の深さを表現し、琥珀色のビールが映える素材感や色彩を意識した。

「エスマルタード」APC-G1030
「カプチーノ」NTR-D6870・D6880
「クラルテ」CLA-500・600
「マシア」EK-H3070

シンプルなL字型カウンターが、店内から屋外へ連続し、「こんなビアバーがあったら、街が楽しくなりそうだ」と感じさせる。人間味あふれる佇まいである。一般的に飲食店では暖色系の色が好まれ、ブルー系の色を使うのは難しいが、ここではむしろブルーとグリーンのタイルが、店員や客の背景として、”絵になる”印象的なシーンを生んでいる。特に、ビアタップが埋め込まれた部分と、その下にグラスを構える部分には、上下の壁面とは異なる色味や形状のタイルを張っている。そうした繊細な工夫が、この店に豊かさをもたらしている。

塩田健一 氏
入 賞
 

ASL研究ラボ
株式会社マイト

設計・施工・撮影 株式会社マイト

『モッタイナイ』を楽しむ
「本来なら廃棄されてしまうかもしれない少量のタイル達を持ち寄り、経年変化を楽しめる一生モノの空間を創りたい」そんな想いを形に、駐車場の壁や床、そしてインパクト抜群のトカゲのオブジェが完成しました。制作時には手元にあるタイルだけで色をミックスすることによる偶然性や、時に割って使用することによる唯一無二の空間に仕上がったのではないでしょうか。今回の取り組みで、改めてタイルの持つポテンシャルや可能性を感じることができた作品となりました。

床/「キラ」CD-L150・L160・L170・L180・L190・L181-4M
壁/「ブルージュ」BRU-40
オブジェ/「ドラジェ」DGE-C30・B11
プランター/「アートモザイク施釉25角」ART25F-B-1・J-3

本来であれば廃棄されてしまう少量のタイルを持ち寄り、経年変化を楽しむ場を作ろうとする姿勢が素敵だなと思いました。私たちも、現場でタイルを使った後に残ったものを、そのまま廃棄されるのが忍びなく、事務所に持ち帰ってストックしていたりするので、そのモチベーションに共感しました。ぜひこれからも、少量のタイルを組み合わせて、楽しい場所を作る試みを続けていただければと思いました。

大西麻貴 氏
入 賞
 

ながぬま整骨院+住宅
青木設計事務所

風が流れるように、境界に流れるタイルの土間
おおらかなタイルの土間を共有する、整骨院と住まいの提案です。この土間は、ご主人が営む整骨院の待合スペースでありながら、上階で暮らす家族のための玄関でもあり、時には奥さんが手作りお菓子をふるまうカフェにもなります。人が行き交う土間のタイルは、優しいパステルカラー3色を選んでヘリンボーン張りで仕上げました。タイルの色彩と木のぬくもりで包まれた空間は町に溢れ出し、ここにしかない整骨院のあり方と暮らしの物語を紡いでいきます。

「カヴァレット」CAV-7・8・10

たっぷり木の温もりを感じるインテリアと建物。柱も壁も天井も建具も床もオール「木」を使用している。年月と共にその味わい深さも増していく様子を想像してしまう。その「木」に対して、というか、共にある広々とした土間のタイル。優しいパステルカラーのヘリンボーン張りであるが中々大胆な選択である。個性的な組み合わせが、建物の中から屋外まで緩やかな繋がりをもたらせている。ここでは人と人との関わりが穏やかであると感じさせる何かを持っている。整骨院とカフェと住宅の融合に良好な解の一つであると感じた。 

五十嵐久枝 氏
審査員特別賞
 

横浜ランドマークタワー公共歩廊
株式会社三菱地所設計

海と陸・人と街・今と昔を繋ぐパブリックプロムナード
横浜みなとみらい21は、1859年に横浜港が開港し、ここ横浜ランドマークタワーも入江だった場所に造船所ドックが造られその後現在のウォーターフロント複合施設へと発展を遂げました。石目調と木目調の2種類の大判ボーダータイルをランダムな入れ子状に並べ、海と陸・人と街・今と昔が、波の満ち引きのように繋がり合う様子を表現しました。人々の往来方向に対してタイル長手を直行方向に用いることでタイルと目地とに靴底がグリップしやすいようにし、またタイル表層に粗目の仕様を選定し、安全性にも配慮したタイル張りのスロープとしています。

「ブックマッチ」CDS-AC4930G カット品
「フレンチオーク」CTC-O1120G・O1130G

屋外の歩廊にウッドデッキを使用することはあるが、石材を混合して使用することはあまりない。様々な適当ではない要因から避けられてしまう。それが双方ともに同素材タイルということであれば問題は消えてしまう。表層にノンスリップ加工も施され安全性においても優位である。天然素材をタイルに置き換えるテクニックも進化し続け、デザイン性の自由度は拡がる。また耐久性やメンテナンス性など機能面も付加されることでタイル床材の可能性は向上し、イメージも実現される。

五十嵐久枝 氏

過去の開催情報

第9回

Design Award 2024

第8回

Design Award 2023

第7回

Design Award 2022

第6回

Design Award 2021

第5回

Design Award 2020

第4回

Design Award 2019

第3回

Design Award 2018

第2回

Design Award 2017

第1回

Design Award 2015