TILE TREND COLUMN #34

2026年を象徴する色に注目

毎年12月頃になると、翌年を象徴する色が国内外のさまざまな機関から発表されます。世界的に色彩の標準化に貢献してきたアメリカの企業 PANTONE^®社は、2026年を象徴する色として、雲のようなホワイト「Cloud Dancer（クラウドダンサー）」を発表しました。一方、日本流行色協会（JAFCA）は、2026年の“時代の色—メッセージカラー”として、心を満たすライトピンク「Heartfelt Pink（ハートフェルト・ピンク）」を選定しています。一見すると“ホワイト”と“ピンク”という身近な色ですが、どちらも新しい始まりへの希望を反映したカラーです。今回は、2026年に選出されたこの2つの色の背景と、タイル空間への取り入れ方をご紹介します。
　

　PANTONE^®︎社 - Color of the Year 2026

今年で27年目を迎えるColor of the Year（カラー・オブ・ザ・イヤー）でPANTONE^®が2026年を象徴する色に選んだのは、史上初となるホワイト、「PANTONE 11-4201 Cloud Dancer（クラウド ダンサー）」でした。雪のような冷たいホワイトではなく、わずかにグレーがかった、やわらかく光を含むニュートラルなホワイトで、控えめでありながら周囲の色や素材を引き立ててくれる、軽やかな色合いが特徴です。

心をやさしく満たすライトピンク
Heartfelt Pink（ハートフェルト・ピンク）

「Heartfelt Pink（ハートフェルト・ピンク）」は、主張の強いビビッドピンクとは異なり、肌に馴染むやわらかなライトピンクです。人々の気持ちをあたたかく包み込んでくれるようなこの色は、長く続いた不安の時代から前向きに歩み始めた今のムードを映し出しています。2025年の「Horizon Green（ホライゾングリーン）」が広い視野と落ち着きを象徴していたのに対し、2026年のハートフェルト・ピンクは、“静から動へ”という心の移行を象徴する色です。希望、優しさ、幸福感、平和、前向き、寛容──。この色が持つキーワードはいずれも、人々の心をやさしく満たすものばかりです。近年トレンドの穏やかな色調にほんのりと活力を加えたハートフェルト・ピンクは、デジタル中心の生活のなかで見直されつつある“実体験の価値”とも呼応します。人と触れ合うこと、自然に身を置くこと、身体を動かすこと──画面越しでは得られない体験を思い出させ、動き出そうとする私たちの背中を優しく押してくれます。
 
ハートフェルト・ピンクは、タイルを通して空間に取り入れることで、住まいに温もりと幸福感をもたらします。例えば、洗面室の壁面にアクセントでこの色のタイルを使用すれば、毎朝を明るい気持ちでスタートできる空間に。寝室ではベッドヘッドまわりにライトピンクを加えることで、包まれるような安心感が生まれます。また、「Cloud dancer（クラウドダンサー）」のようなホワイトやベージュ、グレーといったニュートラルカラーと組み合わせれば、甘すぎず洗練された印象に仕上がります。さらに、真鍮やコッパーといった暖色系の金具、天然木材との相性も良く、ナチュラルでありながら華やかな空間を演出できます。奥行きと落ち着きのある色なので、住宅はもちろん、医療・美容・ホスピタリティなどの空間にも最適です。ハートフェルト・ピンクのやわらかなトーンは、アクセントとして使うだけでも空間の印象をやさしく変える力を持っています。心に寄り添うハートフェルト・ピンクを上手に取り入れながら、2026年らしい前向きで明るい空間を演出してみてはいかがでしょうか。