Tile Column
たいるこるん
Vol.04 「ジーンズを超えて
 
 

1978年、アメリカで映画「スーパーマン」が公開された年。その頃イタリアは「鉛の時代」と呼ばれ、右派、左派、貴族階級、宗教、マフィアなどの様々な人間の主張入り混じって、政治的に不安定だった。そんな社会情勢のなか、とある青年がジーンズ会社と共に、”燃料のように世の中を活気づけたい” という願いを込めたデニムブランドを創立した。これがDIESEL(ディーゼル)だ。DIESELといえば、デニムに、音楽、アート都会的かつロックなデザインで、今やアパレル界で誰もが知る確固たる地位を築いた
 
同ブランドは2017春夏コレクションに”MAKE LOVE NOT WALLS”の広告文句を掲げ、愛にあふれたボーダーレスな世界を訴えているが、この創立当初に通じる感性や信念、若くみなぎるパワーは、いつしか衣服の域を超え”人の暮らし”を取り囲む多くのアイテムのプロデュースへ進出
 約10年前の2008年には、イタリア国際家具見本市ミラノ・サローネを舞台に、ホームコレクションラインDIESEL LIVING(ディーゼルリビング / 当時の「Successful Living From Diesel)が、立ち上がった
 
 
 
 DIESEL LIVINGは、家具MOROSO(モローゾ)照明器具FOSCARINI(フォスカリーニ)、ほかテーブルウェアのSELETTI(セレッティ)やキッチンのSCAVOLINI(スカボリーニ)などイタリアを代表する一流メーカー共に幅広く手掛けているブランドだ
 今回紹介したいのは、この度同国のタイルメーカーから発表されたDIESEL LIVINGタイル。
 

 
このコレクションは、スクラッチやヒビの入ったコンクリート、磨耗した鋼板、色付けされたガラスなど、5つのモード からなる構成で、都会にただずむ産業エリアの倉庫や工場にインスパイアされている。さらに、これに温もりとスリルを足して独創的ながらどこか懐かしい世界観つくり出し、どれも ブランドらしい力強くてタフな素材感を展開する
 
 

そのうちの一つである「CAMP DIESEL(キャンプディーゼル)」は、アーミーが身に着ける迷彩柄に使用されるモスグリーンやインディゴ色、そしてテントや搬送車のカンバス地のような布面が特徴。これに高級感を添える艶ありと、マットな石肌の計3種の面状をミックスすることで、品のある風合いに仕上げた。
 

 
こうしたデザインの細 かな 表現磁器質タイルとしての実用性を、うまく 両立させて高い品質を叶えるこのメーカー は、透明感 、砂っぽさ、金属の錆び感など、 タイルとは思えないような感度の良いテクスチュアを焼き上げるのが得意
  
たとえば、「ISPIRATO (イスピラート)」、「MAIOLICA (マヨリカ)・MAIORICA MODERNA (マヨリカモデルナ)」などがある。前者は光をぼんやり反射したようなくもりガラス、後者はスペインのマジョリカ焼からヒントを得た艶と発色の美しいラインで、その表現力は他社とも一線を画しているように思う。

ISPIRATO

MAIOLICA MODERNA


 
青年はDIESEL を立ち上げて間もなく、日本の原宿でヴィンテージ・デニムに出会い夢中になり、その温もりや風合いを追及し続けた。その後も数々の新しい可能性に挑戦し、彼の名は世界中に知れ渡ることになる。このタイル「CAMP DIESEL」は、そのパッションを受け継いだプロダクトの一つだ。
 
 
たいるこるんは次回
にっぽんのルーツを見つめなおす。
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タイルのコラム「たいるこるん」 BACK NUMBERS


Vol.01
「タイルがイタリアから飛んで来た」2017.1


Vol.02
「タイルの秘境ベトナム」2017.3
 


Vol.03
「コルビジェのカラーパレット」2017.4
 


Vol.04
「ジーンズを超えて」2017.5