Tile Column
たいるこるん
Vol.01 「タイルがイタリアから飛んで来た

毎年9月、世界中のタイル業界がイタリアへ集結するタイル国際見本市「Cersaie(チェルサイエ)」が終わると、メーカーのセールスマンが一斉に新作のサンプルを持って飛んで来る。
 
そんな彼らのうちの一人が、とあるメーカーのミルコ。
ミルコは毎年日本へやって来て、4・5日滞在し、その足で東南アジアとオセアニアを回る。2ヶ月間にも及ぶロングトリップで、一人旅はすっかり馴れたもの。
東京から新幹線で名古屋へ来ると、必ず行くすし屋がある。(味噌カツは好きじゃないの...?)
こぢんまりとした店で、一人すしと、サラリーマンたちの人間観察をして楽しむ、
40代独身、クレバーなイケメンだ。
 
今年もその大きな身体で両手いっぱいにキャリーケースとブックサンプルを抱えてやって来て、
新作を広げて見せる。
 

 
ミルコ、最近のイタリア、タイル業界の本場では何が起こっているの ——
「スケールの大判化は相変わらず目覚ましいよ。薄くて、数メートル単位のモデュールはシームレスな建築の内外観をかなえる、先端技術を反映させたとても美しいデザインだね。」
 
彼のメーカーの製品のなかで、一際目を引くのが「Sensi Marmi(センシマルミ)」だ。
1200×600角・1200角×300角・600角の大判で、全5色をそろえる。
面状は通常より強い光沢を放つLUX+と呼ばれる磨きと、本石のような肌触りを持つ平(ひら)。ダイナミックな意匠と清掃性の高さで、これからあらゆる空間を彩る事になるだろう。そして何といってもこれら二面状を貼り分ける設計がこのタイルの楽しみだ。
 
 

WALL : PIETRA GREY / FLOOR : WHITE

 
 
デザイナーが一つひとつの色のストーリーを話してくれる。
どの時代もクラシックで基本色でもあるWHITE(9150・9250P色)は、今の建築業界のニーズに最も添った必然的な色に調整し、モダンなコンセプトシーンが想定してある。また暖色の岩脈が美しいCALACATA SELECT(9160・9260P色)は、フローリングや家具の木素材に溶け込む色。温もりあるSAHARA CREAM(9170・9270P色)は、時代の流れにコンテンポラリーに添えるよう、黄味を抑えたこだわりあるベージュ。そして、白い岩脈が映えるARABESQUE SILVER(9180・9280P色)・PIETRA GREY(9190・9290P色)は、技術的に実現が難しかったが、最高にエレガントに仕上がった。
 

ARABESQUE SILVER


 
 
これらの岩脈の艶や、肌触りからは天然石と見紛う忠実な再現(技術)力がうかがえる。
暮らしに「リッチで特別な時間」を求める高級思考のユーザーが前提にあるようだけれども、
価格は中層と高級層の間で比較的取り入れやすい。
 
 

SAHARA CREAM 平(ひら)面状

 
 

ミルコには全体を見る力がある。
タイル業界にとって、ミラノサローネってどんな存在なの ——
世界のインテリアの情報発信源となるイタリア国際家具見本市「Milano Salone(ミラノサローネ)」と、タイル業界の位置関係とは。
「インハウスデザイナーは、必ずサローネへ出向いて、素材や質感、色、サイズ、そのトレンドとニーズを調べに行くよ。」タイルの背景にはインテリアやエクステエリアがあって、その後ろに建築があり、さらにその後ろに街や、人の暮らしがある。どれも切って離せない関係だ。

 
 

タイルマーケットでもその傾向に合わせこのところ、ダスティトーンのタイルは多い。”アンティーク”や”ヴィンテージ”色というだけではなく、新と旧が共存する気品のある色だ。誌面がみんな同系色になってしまうのがカタログ制作側の悩みだが、温もりあるグレーからシャープなグレーまで色幅の選択肢が広がるのは豊さを感じるし、選ぶ時間もたのしい。
 
このほかでは、天然素材にあえて非天然的な”デザイン”で着色した個性の強い新しいタイルも出てきているし(「BELLA AGATA(ベッラアガタ)」など)、根強い人気のスペインタイルも、これからの展開にわくわくしている。

 

BELLA AGATA (総合カタログ2017掲載)

 
 
たいるこるんは
お次はベトナムへゆく。

Milko Verzani
ミルコ・ヴェルツァーニ
イタリア・ボルゴーニャ在住。某タイル大手メーカーのアジア・オセアニアエリアエージェント。チェルサイエ2015では同社内の”ザ・ベスト・エージェント”に輝いた。好きな国は日本とニュージーランド。

 

おまけ】ミルコのにっぽんお気に入りスナップショット
  春の京都
京都寺院
東京支店のすぐ横、代々木公園
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タイルのコラム「たいるこるん」 BACK NUMBERS


Vol.01
「タイルがイタリアから飛んで来た」2017.1


Vol.02
「タイルの秘境ベトナム」2017.3
 


Vol.03
「コルビジェのカラーパレット」2017.4
 


Vol.04
「ジーンズを超えて」2017.5
 


Vol.05
「麻の葉と日本のタイル」2017.8


Vol.06
「中国から学ぶこと」2017.12


Vol.07
「マルコ -イタリア人にみるタイル-」2018.6


Vol.08
「マルコ -食い倒れた先にタイル-」2018.8